入院患者(シャーロックホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

入院患者(シャーロックホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ『入院患者』。この物語は、相談者である医師の入院患者が数週間前から突然怯えだした理由を探る、『シャーロック・ホームズの思い出』に収録されている短編小説です。

そこでこのページでは、本作品の真相などの解説と考察を行います。すべてネタバレになりますので、「まだ読んでない」という方は十分にご注意ください。

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物語について

解説する前に、登場人物とあらすじをざっとおさらいしておきます。「そんなの必要ないよ」という方は読み飛ばしちゃってください。

登場人物

『入院患者』の登場人物は以下です。

登場人物名 説明
シャーロック・ホームズ 私立探偵
ジョン・H・ワトスン 医師
パーシー・トレヴェリアン 医師
ブレシントン 投資家、入院患者
ラナー 警部

あらすじ

ホームズとワトスンが散歩から帰ると、開業医のパーシー・トレヴェリアンが相談ごとを持って訪ねてきていた。病院の開業に出資してくれた同居人のブレシントンが、数週間前から異様なほど何かに怯えるようになったという。

極めつけは今日の出来事で、ブレシントンは部屋に侵入されたことで常軌を逸するほどに激怒。侵入したのは一日前から来院していたロシア人親子の息子で間違いなく、話し合った末にホームズに助けを求めに来たのだった。

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解説と考察

それでは本物語の解説と考察に移ります。

怯えていた理由と顛末

ブレシントンが怯えていた理由は、過去に銀行を襲撃した際に裏切った仲間からの報復を恐れていたからでした。自分だけが刑を免れるよう、ブレシントン(本名はサットン)は密告。結果として仲間の一人(カートライト)が絞首刑に送られ、残りの三人(ビドル、ヘイワード、モファット)は懲役十五年に処せられていました。

三人は刑期を少し残して出獄。ブレシントンの居場所を突き止め、うち二人はロシア人親子の患者として病院に潜入します。そして三度目の正直で、カートライトと同じように首を吊らせてブレシントンの命を奪いました。

ホームズの推理

本作品は、冒頭でワトスンが語っている通りホームズの推理が目立つようなものではありません。それでも得意分野である足跡や葉巻の観察により、以下に記載することが判明しました。

わかったこと 根拠
第三者がブレシントンの部屋に侵入した 階段の絨毯に残っていたトレヴェリアンでもブレシントンのものでもない足跡
ブレシントンは命を奪われた 二種類あった葉巻の吸い殻
年配の男、若い男、正体不明の男の順でブレシントンの部屋に入った 足跡の重なり具合

ホームズがよく語っているように、足跡や葉巻だけでも多くのことがわかります。本作中では確かにあまり目立つ推理ではありませんが、個人的には好きなポイントです。

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ドラマについて

ジェレミー・ブレットが主役を演じる海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」では、1985年に本物語を放送しました。以下は原作との相違点です。

原作との相違点
  • ブレシントンが悪夢を見る
  • ホームズが髪の毛についてプロの意見を聞きに来ている
  • ブレシントンが部屋に檻を作る
  • ホームズがトレヴェリアンにブレシントンが持っていた紙を確認する
  • ロシア人親子がブレシントンの部屋に侵入したのが診察初日
  • ブレシントンの金庫が柄物
  • ネジはホームズが見つける
  • ホームズが異常に部屋を散らかす
  • ホームズが『入院患者』というタイトルを付ける

相違点は細かいものばかりで、ストーリーはほぼ原作に則っています。

お笑い要素としては、ワトスンが散髪中にホームズの苛立ちの理由を推理。ほぼほぼ外れていたため、ホームズから「恍惚の極み」と言われてしまいます。しかしこの出来事は終盤のフリ。ホームズが新聞を探すために部屋を異常に散らかし、ハドスン夫人の絶叫につながっていきます。

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感想

ブレシントンが首を吊られていたときの次の表現は、気持ち悪さを感じました。

首は羽をむしられた鶏のように細く伸びきっているため、それ以外の部位が不気味なほど膨張して見える。

出典元:角川文庫『シャーロック・ホームズの回想(入院患者)』コナン・ドイル/駒月雅子訳

首だけが吊るされた重力で細く伸び、それ以外が脂肪でたるんでいる状態…。人間とは思えないその姿は、ワトスンも「ゾッとする光景」と記録したほどでした。

年配のロシア人が利用したカタレプシーは、私が本作を読んだ2021年でもいまだ原因不明とされています。症状としては、人から言われた姿勢を保ち続けようとするもの。ホームズもフリをしたことがあると語っていましたが、確かに実際の症状と見分けるのはパッと見では難しいでしょう。

本作でホームズは真実を話さないブレシントンを見捨てました。ホームズであれば命を落とすケースも考えていたはず。それでも助けなかったのは、相当な悪人だと見抜いていたからなのか。最後に因果応報という言葉で片づけていますが、ホームズのちょっと冷酷な一面を見れた興味深い作品でもありました。

少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。