ギリシャ語通訳(ホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

ギリシャ語通訳(ホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ『ギリシャ語通訳』。この物語は、シャーロック・ホームズの兄であるマイクロフトが初めて登場する、『シャーロック・ホームズの思い出』に収録されている短編小説です。

そこでこのページでは、「人物相関図」と「物語の流れ」を確認しながら本作品の解説と考察を行います。すべてネタバレになりますので、「まだ読んでない」という方は十分にご注意ください。

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物語について

解説する前に、最終的な人物相関図とあらすじをざっとおさらいしておきます。「そんなの必要ないよ」という方は読み飛ばしちゃってください。

最終的な人物相関図

『ギリシャ語通訳』の最終的な人物相関図をまとめると次のようになります。パソコンの場合は画像をクリックして拡大、スマホの場合はピンチアウトしてご覧ください。

ギリシャ語通訳の人物相関図

あらすじ

ある夏の夕方、ワトスンは天涯孤独の身だと思っていたホームズに兄がいることを知る。名前はマイクロフトと言い、実際に会ってみると聞いていた通りホームズ以上に観察眼に優れた人物だった。

そんなマイクロフトといっしょに、ギリシャ語通訳を仕事にしているメラスの相談に乗ることになる。監禁して顔中に絆創膏を貼った男に、署名を強制させようとしている奇々怪々な出来事に巻き込まれたというのだ。

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解説と考察

それでは本物語の解説と考察に移ります。

ことの顛末

メラスを連れ去ったのはハロルド・ラティマーで、もう一人の仲間は札付きの悪であるウィルスン・ケンプでした。二人の目的はたぶらかして惚れさせたソフィーの財産を根こそぎ奪うこと。そのために財産管理人であるソフィーの兄・パウロスを監禁し、強引に権利を放棄させようとしていました。

絆創膏を顔中に貼ったのは、ソフィーに兄だとわからせないようにするため。その姿は、メラスが恐怖に凍り付いたと表現するほど不気味極まりないものでした。ところがメラスが最初に連れてこられたとき、ソフィーは女の直感ですぐにパウロスだと気づきます。

悪だくみがバレてしまった二人は、ガスを充満させた部屋にパウロスとメラスを閉じ込めてからソフィーを連れて逃走。しかし後に、ラティマーとケンプは遺体となって発見されます。警察は刺し違えたとの見解を示していますが…真実は闇の中。

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ホームズ兄弟のやり取り

ワトスンがディオゲネス・クラブに連れてこられたときに行われた、ホームズ兄弟の人間観察も本作品の面白い要素です。

わかったこと 根拠
軍人あがり 威張った態度や顔つき
最近除隊したばかり 軍靴を履いている
任地はインド 日焼けした肌
下士官(砲兵隊) 歩き方と体重
男やもめ 喪服を着ていて自分で買い物をしている
子供が複数いる ガラガラと絵本を持っている

暑い気候の場所であることは間違いありませんが、インドとは断定できないかもしれません。なぜなら19世紀末、イギリス軍の手は東南アジアにまで伸びていたからです。当時重要な植民地で多くの軍人を派遣していたインドだとは思いますが、正確に言えば東南アジアだった可能性はあります。

また、砲兵隊と結論付けたのは消去法でしょう。その他の代表的な兵科である歩兵、騎兵、工兵は体力や素早さが重要。どこまで太っていたかはわかりませんが、動きの少ない砲兵隊だと思わせる体つきだったのだと思います。

マイクロフトの観察眼はシャーロックの同等以上で、二人のやり取りはワトスンが思わず止めに入るほどにハイレベル。「自分よりもずっと多くの性質を受け継いでいる」という、ホームズの言葉が証明された瞬間でした。

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ドラマについて

ジェレミー・ブレットが主役を演じる海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」では、1985年に本物語を放送しました。以下は原作との相違点です。

原作との相違点
  • 兄に相談が持ち込まれたことをホームズが前もって知っていた
  • ケンプが二回目にメラスを誘い出すときにディオゲネス・クラブにいた人物だと語った
  • 結末

いちばん大きな違いは結末です。ドラマではホームズたちがラティマーたちを追いかけ電車に乗り客室を調査。ラティマーは追い詰められた末に電車から落下して絶命し、ケンプはマイクロフトに銃を突き付けられて観念し警察に連行されていきます。ソフィーが冷酷という表現がありますが、おそらく原作でラティマーとケンプを亡き者にした結末の代わりでしょう。

ちょっとしたお笑い要素は、ディオゲネス・クラブの静寂さ。原作ではすぐにホームズ兄弟のハイレベルな人間観察に入ってしまいますが、ドラマでは変わり者の集まりであるクラブの雰囲気を少し時間を取って表現しています。

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感想

弟とのやり取りで見せつけられたマイクロフトの強烈な姿は、ワトスンといっしょに笑っちゃうほどでした。野心や行動力がないことも一因になっているのかもしれませんが、相談されているのでかなり頼られている存在。それになんだかんだで気になって現場までついてきちゃうあたりも、愛嬌や優しさを感じます。

また、本作は推理する過程よりも、「絆創膏を顔中に貼った男」という不気味さの方が印象的でした。調べた限り当時の絆創膏は、ロール状のものを必要な長さに切って使われていたようです(確かなことはわかりません)。あくまで想像ですが、おそらく顔だけがミイラ男のような状態だったのではないでしょうか。

一つ気になったのは、裕福なソフィーがなぜ周りに買収されるような人しか住んでいないマートルズ荘を借りたのかということ。土地勘がないため仕方なかったのか、それともマートルズ荘はラティマーと改めて借りた家なのか。そうだったとしても、ダヴェンポートが居場所を知っていたことには疑問が残ります。

少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。