空き家の怪事件(ホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

空き家の怪事件(ホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ『空き家の怪事件』(翻訳者により『空き家の冒険』『空家の冒険』『空家事件』と訳されているものもアリ)。この物語は、命を落としたと思っていたホームズが帰って来る、『シャーロック・ホームズの帰還』に収録されている短編小説です。

そこでこのページでは、ホームズ帰還の真相など本作品の解説と考察を行います。すべてネタバレになりますので、「まだ読んでない」という方は十分にご注意ください。

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物語について

解説する前に、登場人物とあらすじをざっとおさらいしておきます。「そんなの必要ないよ」という方は読み飛ばしちゃってください。

登場人物

『空き家の怪事件』の登場人物は以下です。

登場人物名 説明
シャーロック・ホームズ 私立探偵
ジョン・H・ワトスン 医師
ロナルド・アデア メイヌース伯爵の次男
レディ・メイヌース ロナルド・アデアの母
ヒルダ ロナルド・アデアの妹
イーディス・ウッドリー ロナルド・アデアの元婚約者
セバスチャン・モラン 大佐
オスカル・ムニエ 蝋人形の作者
パーカー 首絞め強盗
フォン・ヘルダー ドイツ人の技師
レストレード スコットランドヤードの警部

あらすじ

ロナルド・アデアという敵がなくお金にも困っていない伯爵の次男が頭を撃ち抜かれて命を奪われる。現場となった部屋には鍵がかかっており、凶器はどこを探しても発見することはできなかった。

唯一開いていた窓からの侵入は20フィートもの高さを登らなければならず、遠方からの射撃は銃声を聞いた者がいない。奇妙さに興味を持ってワトスンが考えを巡らせていると、突然命を落としたはずのホームズが目の前に現れ仰天する。

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解説と考察

それでは本物語の解説と考察に移ります。

ホームズ帰還の真相

ホームズがライヘンバッハの滝で行方不明になってからワトスンの前にふたたび現れるまでの三年間を、「大空白時代」と呼びます。以下は大空白時代のホームズの行動に、モリアーティの手下でありアデアを亡き者にしたモランを逮捕するまでを時系列で並べた年表です。

日付 内容
1891年5月4日 ライヘンバッハの滝でモリアーティと対峙し行方不明
1891年5月11日 フィレンツェ到着
~1894年春 チベットを旅する
ハルツームでカリフと会談
モンペリエでコールタールの誘導体に関する研究
1894年3月30日 ロナルド・アデア絶命
1894年4月5日 ワトスンと感動の再会
1894年4月6日 モラン確保

※ワトスンが『最後の事件』を執筆したのは1893年。ライヘンバッハの滝から逃げて来た数か月後にホームズが記録を読んだというのが気になるところ。

ライヘンバッハの滝にホームズが実は落ちていなかったというのが真相。謎の日本の拳法「バリツ」でモリアーティをかわし、命を落としたと見せかけるために岸壁を登り岩棚に避難。そのときにモランの落石攻撃を受けますが、何とか逃れ生き延びたというのがライヘンバッハの滝であったことの顛末です。

ロンドンに残る敵が一人(具体的に名前は出していないがモラン)だと聞いたホームズは三年ぶりに帰国。ワトスンと感動の再会を果たし、モランをおびき出すため部屋に自分の姿をした蝋人形が影絵になるようセットします。同じ空き家に来るというハプニングはありましたが、無事モランを確保。正真正銘、モリアーティの一味をロンドンから排除することに成功します。

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アデア絶命に関する謎の真相

ホームズ帰還のオマケのようになってしまいましたが、アデアを撃った人物はモランでした。動機はアデアにイカサマがバレて公表されそうになったから。真っ当な行いをしようとしただけなのに命を奪われてしまう、やるせない現実でした。

アデア絶命に関する謎と真相をまとめると次の表のようになります。

真相
亡き者にした方法 空気銃で外から射撃
テーブルの上にあったお金 イカサマで得たお金の返却分を勘定していた
部屋の施錠 お金の勘定をジャマされたくなかった

外からの射撃が可能であれば、付随していた侵入・脱出方法の謎は考える必要がありません。さらに音のしない特殊な空気銃を用いることによって、音の問題も解決。まさに最強の銃を手にした最強のスナイパーにしかできない、鬼に金棒的な恐ろしい方法でした。

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ドラマについて

ジェレミー・ブレットが主役を演じる海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」では、1986年に本物語を放送しました。以下は原作との相違点です。

原作との相違点
  • ワトスンが序盤にベーカー街のアパートへ行く
  • ワトスンがアデア絶命の件でレストレードに呼ばれる
  • アデアの部屋をノックしたのは母親だけ
  • 検視裁判が開かれる
  • ホームズがライヘンバッハの滝でワトスンが叫ぶ姿を見ていた
  • ホームズがライヘンバッハの滝から逃走するとき銃で撃たれる
  • ホームズの帰還を祝って乾杯する

大きな追加要素としては、ワトスンが検視裁判に呼ばれることでしょう。しかもこの裁判で、ワトスンはかなりぞんざいな扱われ方。そして裁判終了後、本屋に扮したホームズとぶつかり原作の流れに戻ります(原作でぶつかるのはアデアが命を落とした現場の前)。

ホームズとモリアーティの攻防についても少し変更点あり。原作では岩が転がり落ちてきますが、ドラマでは銃で狙われたことになっています。おそらく、モランが銃の名手なので変更したのでしょう(転がる岩の撮影は危ないですしね)。

最後にホームズの帰還を祝して、ワトスン、ハドスン夫人の三人で乾杯。観ているこっちまで嬉しくなるシーンで、エンドロールの絵もオシャレでした。

※なお、この第三シリーズからワトスン役がデビッド・バークからエドワード・ハードウィックに変更となっています。

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感想

とにもかくにも「ホームズが帰って来た!」という喜び。本作はホームズとモリアーティが転落した『最後の事件』から、10年もの月日を経て発表されています(間に『バスカヴィル家の犬』がありますが、転落前の話)。今でこそすぐに続きを読むことができますが、当時のホームズファンにとっては待ちに待った作品だったでしょう。

ホームズもワトスンとの再会が嬉しいのか、茶目っ気がいつも以上に感じます。本屋から突然変装を解いた姿を見たワトスンは、ビックリして失神してしまうほどでした。ハドスン夫人は卒倒を持ちこたえたのに。

空気銃はちょっと反則かなと感じましたが、モリアーティたちがそのような強力な代物を持っていた事実は、組織が強大であったことの証だと思います。ただ、モランはホームズに「冷静沈着で眼力も天下一品」と言わせた人物。にもかかわらずイカサマで生計を立てていたのは、モリアーティというバックがいなくなってしまったゆえの愚行だったのかもしれません。

少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。