砂にかかれた三角形のネタバレ解説・あらすじ・人物相関図
アガサ・クリスティのポアロシリーズ『砂にかかれた三角形』。この物語は、二組の夫婦にある隠された関係が悲劇を招いた、『死人の鏡』に収録されている短編小説です。
そこでこのページでは、「人物相関図」を確認しながら本作品の解説と考察を行います。すべてネタバレになりますので、「まだ読んでない」という方は十分にご注意ください。
あらすじ
数々の男性を魅了してきたヴァレンタイン・チャントリーに、ダグラス・キャメロン・ゴールドも心を奪われる。ダグラスの妻・マージョリーは嫉妬し、ヴァレンタインの夫・トニーは怒り狂っていると周りは噂していた。
休暇でロードス島に来ていたポアロの忠告も虚しく悲劇は起こる。
トニーが飲もうとしていたピンク・ジンを口にしてヴァンレンタインが絶命。タキシードからストロファンチンが発見されたため、ダグラスがトニーを亡き者するためにやったと思われたが…。
解説と考察
それでは本物語の解説と考察に移ります。
人物相関図の比較
パメラたちが考えていた関係と実際の関係を人物相関図にすると以下のようになります。パソコンの場合は画像をクリックして拡大、スマホの場合はピンチアウトしてご覧ください。
この物語はマージョリーとトニーの隠された関係がすべてでしょう。ヴァレンタインを亡き者にしてダグラスを逮捕させることで、二人がいっしょになるための障壁を排除する計画でした。
ダグラスとヴァレンタインの関係は引っかけ。二人が恋仲にあると思わされたのは、マージョリーとトニーの言動や行動でほのめかされたからです。人間性を熟知しているポアロは、四人の関係をすぐに見抜いていましたけどね。
手を下した方法
ヴァレンタインに手を下した方法は至って単純。トニーが自分のピンク・ジンにストロファンチンを混ぜておき、「欲しい」と言ったヴァレンタインに渡しただけです。
証拠となるストロファンチンの包は、ヴァレンタインに注目が集まっている間にダグラスのタキシードに滑り込ませました。その場面をしっかりポアロが目撃していたため、マージョリーとトニーの計画は失敗に終わります。
ドラマについて
デヴィッド・スーシェが主役を演じる海外ドラマ「名探偵ポワロ」では、1989年に本物語を放送しました。ストーリーは大まかには同じものの、主に次の追加・変更要素があります。
- 砂に三角形を書いたのはポアロではなくパメラ
- ポアロが港でスパイの疑いをかけられているときに悲劇が起こる
- 街を捜索するシーンと船で逃亡するシーンがある
- サラが登場しない
ポアロが港で捕まった理由ですが、出番の少ないバーンズに少し役割を持たせるためだと思います。知り合いの調剤士がいたバーンズは、実はスパイというオチまで付けて。
調剤士の紹介は、ドラマでなくしてしまったポアロの目撃情報を補う必要があったから。それがポアロとパメラの街の証拠探しにつながったのだと思います。
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。
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