青い紅玉(シャーロックホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

青い紅玉(シャーロックホームズ)のネタバレ解説・あらすじ・感想

アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ『青い紅玉』。この物語は、鵞鳥の体内から発見された宝石の謎を追う、『シャーロック・ホームズの冒険』に収録されている短編小説です。

そこでこのページでは、「人物相関図」と「物語の流れ」を確認しながら本作品の解説と考察を行います。すべてネタバレになりますので、「まだ読んでない」という方は十分にご注意ください。

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物語について

解説する前に、最終的な人物相関図とあらすじをざっとおさらいしておきます。「そんなの必要ないよ」という方は読み飛ばしちゃってください。

最終的な人物相関図

『青い紅玉』の最終的な人物相関図をまとめると次のようになります。パソコンの場合は画像をクリックして拡大、スマホの場合はピンチアウトしてご覧ください。

人物相関図

あらすじ

ホームズのもとに、一羽の鵞鳥とボロボロのフェルト帽が届けられる。クリスマスの早朝に、ヘンリ・ベーカーなる男が与太者と揉めて逃げる際に投げ捨てていったものだった。

帽子から持ち主の特徴を推理していると、突然届け人のピータスンが駆け込んでくる。なんと鵞鳥のえぶくろから、数日前に盗まれた宝石「青い紅玉」が発見されたのである。

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解説と考察

それでは本物語の解説と考察に移ります。

黒幕と青い紅玉がたどった道のり

「青い紅玉」を盗んだのは、ホテルの客室係であるジェームズ・ライダでした。モーカール伯爵夫人の小間使いであるカトリーヌ・キュザックから話を聞いていたライダは、宝石の入っている箱を破壊して持ち逃げ。あらかじめ化粧室に細工しておき、呼ばれたジョン・ホーナに疑いがかかるよう仕向けていました。

盗んだ「青い紅玉」の隠し場所として選んだのが、鵞鳥のえぶくろの中です。姉からのクリスマスプレゼントに宝石を飲み込ませて運ぼうとしましたが、ライダは間違えて似ている鵞鳥を持って帰ってしまいます。回収しようと急いで戻りますが、すでに問屋に卸されていて時すでに遅しでした。

宝石を飲み込ませた鵞鳥がホームズのもとにたどり着くまでにたどった道のりは以下です。

鵞鳥がたどった道のり
  1. オークショット夫人(ライダの姉)の飼育場
  2. ブレッキンリッヂの問屋
  3. ウィンヂゲートのお店「アルファ」
  4. 購入したヘンリ・ベーカーの手元
  5. ピータスンが拾ってホームズのアパートに到着

身体検査をすり抜けるために思い付いたアイディアでしたが、失敗したうえに最後はホームズに届けられてしまいます。やはり悪いことはできないという、ライダの運命だったのでしょう。猛省している姿を見たホームズはもう悪事を働かないと判断し、怒鳴りつけただけでライダを解放してあげるという結末に行きつきます。

帽子の痕跡からわかったこと

届けられた帽子の痕跡から、ホームズは次に記載する多くの事実を明らかにしました。

わかったこと 根拠
知能のすぐれた人物 頭が大きい
三年以内に裕福な期間があったが零落した 帽子は三年前の上等な流行品だが今は安物も買えない
思慮深い 風に飛ばされないようよう止め金を付けている
思慮深さがなくなってきている 止め金を付け替えようとしていない
自尊心を失ってはいない シミをインキで塗って隠している
髪が半白の中年で最近散髪をした 帽子に刈ったばかりの白くて短い髪の毛が付着
ライム入りのクリームを使用 匂い
座りきりの生活 付着した埃の種類
運動しない 汗の汚点
妻に愛想をつかされている ブラシを長いことかけた様子がない
家にガスを引いていない 獣脂蠟燭の跡が多くある

※「頭の大きさ」と「知能」の相関性は低いというのが、現在は有力な説なようです。

汗や蠟燭の染み、短い髪の毛の付着、埃まみれでライムの匂い…。ちょっと目だけじゃなく鼻も覆いたくなるような帽子です。しかしホームズいわくこの「つまらない推理あそび」は、「青い紅玉」が発見されたことにより急に重大な方向へ展開していきます。

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感想

帽子の痕跡から数多くの事実を明らかにした観察眼。身体的特徴、心理面、行動パターン、人間関係など、あらゆる事実を推理してみせた姿はとてもカッコよかったです。まさに名探偵ホームズの真骨頂で、特にインキの塗りつぶしから自尊心に結び付けた点が印象に残りました。

宝石が見つかってからラストまでは、足取りを追う展開になるので推理は若干息を潜めます。それでも人間の感情を煽って口を割らせる方法は、常套手段ながらなかなか面白かったです。外見と仕草から人間の性格を判断した結果ですし、ホームズの意地の悪い面も見れたので。

タイトルにもなっている青い紅玉=青のカーバンクル(ガーネット)という種類の宝石は、実際には存在しないようです。そのためさまざまな議論がこれまでに交わされてきましたが、今でも定説となっているものはありません。ただ個人的には、この世に二つとない貴重な宝石であるということを際立たせるために作った、コナン・ドイルのオリジナルなのではないかと思います。ちょっとロマンがあり過ぎでしょうか。

少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。