映画「紙の月」のロケ地(撮影場所):あらすじ・感想交えてご紹介

映画「紙の月」のロケ地(撮影場所):あらすじ・感想交えてご紹介

2014年に公開した、宮沢りえさん主演の映画「紙の月」。この映画は、平凡な主婦が横領に手を染めてしまった過程を描き、日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞など数々の賞を受賞した作品です。

そこでこのページでは、「紙の月」の中で特定できたロケ地(撮影場所)を、あらすじや感想と合わせてご紹介いたします。なお、本記事にはネタバレを含みますので、実際の映画を見ていない方は十分ご注意ください。

キャスト

以下は、「紙の月」の登場人物と演じられている役者さんの名前です。

登場人物名 役者名
梅澤梨花 宮沢りえさん
平林光太 池松壮亮さん
相川恵子 大島優子さん
梅澤正文 田辺誠一さん
井上佑司 近藤芳正さん
平林孝三 石橋蓮司さん
隅より子 小林聡美さん

あらすじ

銀行でパートから契約社員に昇進した梅澤梨花は、夫・正文の自分本位な態度に不満を感じていた。
ある日、銀行の営業で平林孝三の家に行った梨花は、孫の光太と出会う。二人はそれから意識する日々が続き、やがて不倫関係に。何度も逢引を重ね、梨花は家へ帰るのも遅くなっていく。

孝三の家に行った梨花は、光太に借金があることを聞く。そこで光太を問い詰めると、彼は「学費が足りなくてお金を借りたが、もう学校を辞めようと思っている」と告げるのだった。
何とかしたいと思った梨花は、孝三から預かった200万円を書類に細工し横領。お金を光太に渡してしまう。

そこから梨花の横領の日々が始まった。そして手に入れたお金で、高級ディナー、高級ホテルなどに光太と行き、豪遊生活を繰り返す。
しかしある日、マンションに行くと光太が別の女と寝ているのを目撃。梨花が幸せだと思っていた日々は、終焉を迎える。

隅より子の調査により、梨花が行った横領のすべてがついに発覚。梨花は一連の騒動に対し、「偽物だったら壊れたっていい、壊したっていい」と思っていたことを告げる。すると梨花は椅子で窓ガラスを割り逃亡。
海外に来た梨花は、学生のころに愛の子供プログラムの募金を通じてやり取りした少年が、成長した姿を見るのだった。

ロケ地

それでは、「紙の月」の中で特定できたロケ地(撮影場所)をご紹介いたします。

名谷駅

梅澤家の最寄り駅として使用されているのは、兵庫県神戸市にある名谷(みょうだに)駅です。映画内では、梨花がホームで電車を待っているシーンや朝帰りをしたときに月を見上げるシーンで使用されています。

住所:兵庫県神戸市須磨区中落合2丁目3

センター南駅の歩道橋

冒頭で営業に出かけた梨花が平林家へ行くときに通った場所は、神奈川県横浜市にあるセンター南駅の歩道橋です。横浜信用金庫の看板、背後に映っている港北東急ショッピングセンターなどの建物から特定することができました。

横浜市の主要都市の中にあるセンター南駅の利用者は、近年増加傾向にあるそうです。ショッピングモールも充実しているので、センター南駅付近はじわじわと人気を上げている街と言えるかもしれません。

住所:神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央

そごう西神店

梨花が夫の正文のために時計を買った場所は、兵庫県神戸市にある「そごう西神店」です。もらった正文の反応はあまり良いものではありませんでしたが、高い時計を選んでいたら違った反応が得られていたのでしょうか。

住所:兵庫県神戸市西区糀台5丁目9−4

西神中央駅

「送別会帰りの梨花と光太が偶然出会った改札」や「梨花が高級化粧品を預けたコインロッカー」があるのは、兵庫県神戸市にある西神中央(せいしんちゅうおう)駅です。場所は、先ほどご紹介した「そごう西神店」の真横。

西神中央駅の近くにある西神中央公園は、桜の名所として人気のスポット。自然や遊具なども充実しているので、大人も子供も楽しめる公園となっています。

住所:兵庫県神戸市西区糀台5丁目

長田駅

梨花と光太がホームの反対側にいるお互いを見つけたのは、兵庫県神戸市にある長田駅のホームです。ここから、梨花と光太の禁断の扉が開かれてしまいました。

住所:兵庫県神戸市長田区四番町7丁目

元石川高校前の交差点

「元石川高校前の交差点」は、以下のシーンで使用されています。

  • 200万円を光太に渡したシーンの後に自転車で駆け下りた坂と交差点
  • 梨花がランチに行くより子に話しかけられるまで立ち尽くしていた交差点

電柱に貼ってある看板などから特定することができました。

この坂道は、全長約1.7キロメートルにも及ぶ、銀杏がきれいな並木道です。映画の撮影は冬だったため枯れていましたが、葉が付けば彩りが壮観な景色を見ることができます。

住所:神奈川県横浜市青葉区荏子田3丁目

フランス料理「レストラン エメラルド」

梨花と光太が鹿肉を食べたレストランは、ホテルオークラ神戸の35階にあるフランス料理「レストラン エメラルド」です。席からは、高級なフレンチとともに神戸の美しい夜景を見ることができます。

住所:兵庫県神戸市中央区波止場町2−1

神戸旧居留地

デートしているときに光太の同級生と出くわした場所は、兵庫県神戸市の旧居留地です。シーンの始めは、旧居留地25番館のルイヴィトン前の道から映されていました。

旧居留地とは、日本の開国とともに外国人が住み働くようになった場所のこと。西洋風の街並みが特徴で、観光やグルメ、ショッピングなどが楽しめる場所となっています。

住所:兵庫県神戸市中央区京町

葉山ホテル音羽ノ森

光太が大学を辞めたことを梨花に話した場所は、神奈川県横須賀市にある葉山ホテル音羽ノ森です。二人が車で走った海沿いの道も、この葉山ホテル音羽ノ森から撮られていると思われます。

このあたりは葉山のリゾート地として有名な場所。一面に広がる海、富士山がバックに見える長者ヶ崎などの絶景スポットで溢れています。

住所:神奈川県横須賀市秋谷5596−1

横浜市都筑区中川の道

梨花がチラシを配るときに自転車で走った道は、神奈川県横浜市の都筑区中川という地区にある道です。この辺りは完全なる住宅街なので、詳しい住所と地図は伏せておきます。

神戸市役所1号館

正文が勤める企業ビルの外観は、神戸市役所1号館です。梨花が銀行の窓を割って逃げている最中に、正文が取引先の相手を見送ったシーンで使用されました。

隣には先ほどご紹介した神戸旧居留地や、東遊園地があります。東遊園地は日本初の西洋式運動公園。当時居留していた外国人が、スポーツなどを楽しんだ場所です。

住所:兵庫県神戸市中央区加納町6丁目5−1

三宮センターサウス通り

光太が同級生の女の子とデートしていた場所は、兵庫県神戸市の三宮センターサウス通りです。正文の勤め先と同じく、梨花が銀行の窓を割って逃げている最中に映されました。

この三宮センターサウス通りも旧居留地の近くです。終わった関係とはいえ、光太と正文がものすごく近くにいる。お互いの存在は知らないですが、考えると恐ろしいですね。

住所:兵庫県神戸市中央区三宮町

カオサン通り

最後シーン、海外に逃亡した梨花が学生のときに手紙をやり取りした少年と出会った場所は、タイのバンコクにあるカオサン通りです。お店の看板等から調べて何とか特定することができました。

現在は姿を変えてきていますが、カオサン通りはバックパッカーの拠点として知られている場所。映画内で映されているように数多くの屋台や宿泊所などが、通りいっぱいに立ち並んでいます。

感想

横領に手を染めてしまった原因は、次の二つだと思っています。

横領した原因
  • 夫である正文の態度
  • 学生のころに感じた偽善

正文の態度は、梨花の気持ちを少しも考えないものばかりでした。その積み重ねが梨花に寂しさを抱かせ、やがて光太との関係に身を委ねていく。寂しさというのは、それほど人間を狂わせる力を持っています。

そして学生の頃に行った「愛の子供プログラム」の募金。これは人間の偽善を目の当たりにするものでした。しかもそのショックは、少年からもらった手紙の嬉しさによって、皮肉にも倍増してしまったのだと思います。

過去の経験から本物が無意味であることを悟り、それでも抱えてしまう寂しさが心の揺らぎに拍車をかけていく。「偽物だったら壊れたっていい、壊したっていい」という言葉は、こうした経緯から生まれたものだったのではないでしょうか。

また、一度悪事に手を染めたら止まらなくなるという怖さも感じました。気持ちの中に生まれる「まぁいっか」という雑念。流されないようにするためにも、理性を使って留めておくことがいかに大事かを改めて考えました。

孝三が切羽詰まった様子の梨花にかけた「今まで通りでいいんじゃないか」という言葉。これは心に響きました。悪態をつきながらも、実は梨花のことを信頼していた孝三。信頼してくれた人を裏切ってしまったという梨花の気持ちが垣間見えた瞬間でした。

「本物」を壊さないようにするためにも、謙虚に人のためを想って生きることが、本当に大事だと思います。

皆さまにとって少しでも役に立つ情報になれば嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございました。

【参考URL】

神戸市交通局KOBE CITY沿線NAVI「紙の月」<http://ktbsp.jp/kaminotsuki/>2020/8/20アクセス